慢性胃炎は、胃の粘膜に炎症が続いている状態です。
胃もたれやみぞおちの不快感、吐き気などが現れることもありますが、ほとんど症状がないまま進行することも少なくありません。
特にピロリ菌感染は、慢性胃炎の大きな原因として知られており、放置すると萎縮性胃炎や胃潰瘍、さらには胃がんの発症リスクを高める場合もあります。

慢性胃炎とは

慢性胃炎の女性のイメージ画像

慢性胃炎とは、その名の通り、慢性的に胃の粘膜に炎症が起こっている状態です。
胃の粘膜は、胃酸や消化酵素から胃の壁を守る役割を担っていますが、炎症が続くとその働きが弱くなり、胃もたれや胃痛、食欲不振などの不調が起こりやすくなります。

慢性胃炎のやっかいなところは、症状が軽い、あるいはほとんど自覚症状がないまま病気が進行する点です。炎症が長く続くと、胃粘膜がやせて薄くなる「萎縮性胃炎」に進行し、胃潰瘍や胃がんの発症リスクを高めることがあります。

胃の不調を繰り返している方や、健診で胃炎を指摘された方は、早めに原因を確認し、適切に対処することが大切です。

急性胃炎と慢性胃炎の違い

胃炎には、大きく分けて「慢性胃炎」と「急性胃炎」の2種類があります。

急性胃炎は、胃の粘膜に急性の炎症が起こった状態です。
みぞおちの痛み、吐き気、嘔吐などの症状が比較的はっきりと出やすい傾向があります。
急性胃炎の主な原因には、暴飲暴食・ストレス・アルコールの多量摂取・薬剤による副作用などが考えられます。

一方、慢性胃炎は、胃の粘膜の炎症が慢性的に続いている状態です。
初期段階では症状が軽かったり、まったく出なかったりすることもありますが、胃粘膜はじわじわとダメージを受けています。
特にピロリ菌感染による慢性胃炎では、胃粘膜の萎縮や腸上皮化生といった変化を経て、胃がんなどの発症リスクが高くなることもあります。

慢性胃炎の主な原因

慢性胃炎の原因として、最も多いのがピロリ菌の感染です。慢性胃炎の原因の約8割がピロリ菌感染によるものとされています。

日本ヘリコバクター学会によると、日本でピロリ菌に感染している人は少なくとも3,000万人以上とされており、特に50歳以上で感染率が高いとされています。*1

そのほか、自己免疫の異常や薬の長期服用なども慢性胃炎を引き起こします。

慢性胃炎は発症の原因によって治療方針も変わるため、症状だけで自己判断をしないようにしましょう。

*1 日本ヘリコバクター学会「ピロリ菌に関するQ&A」

1:ピロリ菌感染

ピロリ菌は、胃の粘膜に住み着く細菌です。

胃の中は、食べ物の消化や殺菌のために、強い酸性の状態が保たれています。しかしピロリ菌は「ウレアーゼ」という酵素で周囲を中和し、胃の中でも生き続けることができるのです。

ピロリ菌に感染している状態が続くと、胃の粘膜に炎症が起こり、慢性胃炎を発症します。そして萎縮性胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃がんなどの発症リスクも高まります。特に胃潰瘍・十二指腸潰瘍を発症した方の90〜100%がピロリ菌に感染していると言われています。

ピロリ菌に感染した方の多くは、幼少期に感染していると考えられています。
主な感染経路は不明ですが、井戸水を飲んだことによる「経口感染」が有力です。
現在の日本では60歳以上の方の約70%が、ピロリ菌に感染していると言われています。

日本人のピロリ菌感染率

ピロリ菌についての詳細は、以下のページをご覧ください。
ピロリ菌検査

2:自己免疫の異常

自己免疫の異常によって、自分の免疫が胃の細胞を攻撃してしまうタイプの慢性胃炎があります。これを「自己免疫性胃炎」と呼びます。

自己免疫性胃炎では、胃酸や内因子の分泌が低下することで、ビタミンB12の吸収障害や悪性貧血が起こるケースも少なくありません。

初期段階では無症状のことが多いですが、進行すると、だるさ・息切れ・舌の違和感など全身に症状が出ることがあります。

3:薬の長期服用

鎮痛薬として使われる非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やアスピリンなどは、長期間服用することで胃の粘膜を傷つけ、慢性的な炎症を起こすことがあります。

市販薬を含め、痛み止めを習慣的に服用している方は注意が必要と言えるでしょう。
薬の服用が必要な場合でも、胃薬を併用したり、別の治療法に切り替えたりできる場合もあります。服用は自己判断で中止するのではなく、医師に相談しましょう。

4:食習慣・生活習慣

暴飲暴食・脂っこい食事・刺激物のとり過ぎ・過度の飲酒・喫煙・不規則な生活なども、胃に負担をかける要因です。

食生活や生活習慣の乱れは、慢性胃炎の直接的な原因とは言えませんが、すでに炎症が起こった胃には大きな負担となり、症状を悪化させやすくなります。

また、ストレスや睡眠不足によって胃の働きが乱れると、胃もたれやみぞおちの不快感が強く出ることもあります。慢性胃炎の改善には、原因の治療に加えて、こうした日常生活の見直しも欠かせません。

慢性胃炎のセルフチェックリスト

初期の慢性胃炎では自覚症状がないことも多いですが、次のような不調が続く場合には注意が必要です。

  • 胃もたれが続く
  • 胸やけがある
  • げっぷが増えた
  • 食欲がわかない
  • 吐き気やむかつきがある
  • 家族に胃がんやピロリ菌感染の既往がある
  • 痛み止めを長く飲んでいる
  • 空腹時や食後に胃の不快感がある
  • みぞおちの痛みや重苦しさがある
  • ピロリ菌感染を指摘されたことがある
  • 食後に胃が張る感じがする
  • 健診や人間ドックで胃炎を指摘されたことがある

チェックが多かった方は、慢性胃炎だけでなく、胃潰瘍や逆流性食道炎、胃がんなどの病気が隠れている可能性もあります。
症状が長引く場合は、一度消化器内科の受診をご検討ください。

慢性胃炎の受診目安

胃の不調は、疲れや食べ過ぎのせいだと思って様子を見てしまいがちです。
しかし、自覚症状が軽い場合でも、胃の粘膜のダメージが進んでいることがあります。

特に、症状が数週間以上続く、または繰り返し出る場合や、健診で胃炎や胃の萎縮を指摘された場合は、速やかな消化器内科の受診をおすすめします。

また、ピロリ菌感染が関係している慢性胃炎では、除菌治療のタイミングが将来的な発症リスクを左右することもあります。早期の受診・相談が大切です。

特にこんな症状に注意を

次のような症状がある場合は、早めの受診が必要です。

  • 黒い便が出る
  • 貧血を指摘された
  • 体重が急に減ってきた
  • 強いみぞおちの痛みがある
  • 食事が取れないほどの吐き気がある
  • 50歳以上で胃の不調が続いている
  • 胃薬を飲んでも症状が改善しない

このような症状がある場合は、慢性胃炎だけでなく、胃潰瘍や胃がんなどの可能性も考えられます。
速やかな受診をご検討ください。

慢性胃炎による合併症

慢性胃炎が続くと、次のような合併症を発症することがあります。

慢性胃炎の合併症

特にピロリ菌感染に伴う慢性胃炎では、除菌に成功しても胃がんの発生リスクがゼロになるわけではありません。
除菌後も定期的な検査を受ける必要があります。

慢性胃炎の診断方法

慢性胃炎の診断では、基本的に「胃カメラ検査」を行い、必要に応じて「ピロリ菌検査」も行います。

1:胃カメラ検査

慢性胃炎の診断で最も重要なのが胃カメラ検査です。

胃カメラ検査では、胃の粘膜の炎症の程度を確認します。
また、同時に萎縮・潰瘍・ポリープ・胃がんの有無なども確認できます。

当院の胃カメラ検査では、鼻から極細径スコープを入れる、苦痛の少ない検査方法を採用しています。

また、内視鏡診断の精度を飛躍的に向上させる「NBIシステム」も導入しており、通常の内視鏡検査では分かりづらい腫瘍も発見できます。

詳しくは以下のページをご覧ください。
胃カメラ検査(胃内視鏡検査)

経鼻内視鏡

2:ピロリ菌検査

慢性胃炎の診断の際には、必要に応じてピロリ菌検査を行います。
検査方法には、尿素呼気試験・血液検査・便中抗原検査・病理検査などがあります。

当院では、検査の精度が高い「尿素呼気試験」を行っています。
検査薬を服用して呼気を採取する検査のため、苦痛もありません。

また、当院では検査当日に結果説明を行い、必要に応じてそのまま除菌治療を行うことができます。

詳しくは以下のページをご確認ください。
ピロリ菌検査

慢性胃炎の治療方法

慢性胃炎の治療は、それぞれの原因に応じて行います。
大切なことは、一時的に症状を抑えるだけでなく、根本的な原因を取り除くことです。

主な治療方法としては、次の3つが挙げられます。

  1. ピロリ菌の除菌
  2. 薬物療法
  3. 生活習慣の改善

また、ピロリ菌に感染していた場合は、除菌後も定期的な検査が必要になることがあります。

1:ピロリ菌の除菌

ピロリ菌の感染が確認された場合は、除菌治療を行います。
一般的には、胃酸を抑える薬1種類と抗菌薬2種類を7日間内服します。

一次除菌の成功率は約75%、一次と二次を合わせた除菌率は95%を超えるとされています。

また、除菌に成功すると、胃粘膜の炎症改善や、胃潰瘍・胃がんリスクの低下が期待できます。
ただし、すでに慢性胃炎が進行していた場合は、定期的な胃カメラ検査が必要です。

ピロリ菌除菌療法の流れ

2:薬物療法

胃液の分泌を抑える薬や胃粘膜を保護する薬を用いて、胃の負担を減らしながら症状をやわらげます。
吐き気・胸やけ・胃もたれなどが強い場合には、症状に応じて薬を調整します。

薬の服用が原因で胃炎が起こっている場合には、必要に応じて薬の見直しを行います。ただし、持病の治療に必要なお薬もあるため、自己判断で中止することは避けましょう。

3:生活習慣の改善

慢性胃炎の治療では、食生活や生活習慣の見直しも行います。

食べ過ぎ・早食い・脂っこい食べ物や刺激物・過度の飲酒・喫煙などは胃に負担をかけます。胃の調子が悪い時は、消化の良い食事を心がけ、食事時間を整えましょう。

また、睡眠不足やストレスが続くと、胃の働きが乱れて症状が悪化しやすくなります。除菌や薬物療法とあわせて、無理のない範囲で生活を整えることが大切です。

慢性胃炎に関してよくある質問

Q1:ピロリ菌がいなくても慢性胃炎になることはありますか?

A:あります。

慢性胃炎の原因として最も多いのはピロリ菌の感染ですが、自己免疫の異常・鎮痛薬などの長期使用・飲酒や喫煙・食習慣の乱れなども慢性胃炎を引き起こします。

Q2:慢性胃炎は自然に治りますか?

A:一時的に症状が軽くなることはありますが、原因が残っていれば炎症が続くことがあります。

特にピロリ菌に感染している場合、自然治癒は期待しにくく、除菌などの治療が必要です。
症状が数週間以上続く、または繰り返し出る場合や、健診で胃炎や胃の萎縮を指摘された場合は、速やかな受診をご検討ください。

Q3:コーヒーは慢性胃炎の原因になりますか?

A:コーヒーそのものが慢性胃炎の直接原因になるとは限りませんが、胃酸分泌を刺激し、症状を強く感じさせることがあります。

特に空腹時にコーヒーを飲むと胃の不快感が強くなりやすいため、胃の調子が悪い時は飲む量やタイミングを見直すとよいでしょう。

江東区・亀戸・錦糸町周辺での慢性胃炎の治療はアクアメディカルクリニックへ

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慢性胃炎は、「よくある胃の不調」と思われることが多く、見過ごされやすい病気です。
しかし、実際にはピロリ菌の感染やほかの病気が隠れていることが少なくありません。

特に、健診で胃炎を指摘された方、胃もたれやみぞおちの違和感が続く方は、一度しっかりと胃の状態を確認しておくことが大切です。

アクアメディカルクリニックは、内科・消化器内科として、ピロリ菌検査や除菌治療、胃カメラによる精査まで対応しています。
院内で呼気検査を行い、当日に結果説明や治療を開始できる点や、負担の少ない胃カメラ検査に対応している点も大きな特徴です。

慢性胃炎は、早めに原因を確認し、適切に治療することで、その後の胃潰瘍や胃がんの予防にもつながります。江東区・亀戸・錦糸町周辺で胃の不調が気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。

 

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