漢方内科

漢方内科

漢方内科

当院では、患者様の治療の選択肢を広げ、最適な治療を行うため、西洋医学のほかに漢方の治療にも力を入れております。

漢方は、特定の症状や病気に対応した治療を行う西洋医学とは異なり、身体全体の状態を把握し、心と身体のバランスを整えることで、つらい病気や症状を回復させていくのが特徴です。
自らの自然治癒力を高め、健康な状態に近付けていくことで、長引く慢性的な症状や、性別・年齢・体質によって起こる不調、さらには病名の付けられない「未病(みびょう)*1」まで、多彩な症状にアプローチできるのが漢方治療の一番のメリットです。
*1未病:健康と病気の間と考えられ、発病はしていないが軽い症状がある状態のこと。自覚症状はないが検査で少しの異常が見られるケースもある。

なんとなく体調不良が続くという方や、検査をしても原因の分からない症状にお悩みの方など、お身体に何らかの不調を感じている方は、ぜひお気軽に当院にご相談ください。

漢方とは

「漢方」は、5~6世紀以降に中国から伝わった伝統的な医学が、日本の風土や気候、日本人の体質などに合わせて発展した日本独自の医学です。

漢方では、身体の中を巡る「気(エネルギー)・血(血液)・水(体液)」のバランスが整っている状態を「健康(中庸:ちゅうよう)」と考えます。身体に起きる不調や病気は、それらの3つの要素のバランスが崩れることによって起こるものであり、身体の一部分に起こる症状であっても、全身のバランスの乱れを原因と捉えるのが漢方医学の特徴です。

漢方の診断では、患者様の体質や体格、生活習慣、環境などのさまざまな要素を総合的に診断し、身体の状態を「証(しょう)」という漢方独自の方法で表します。
証のタイプには、身体が冷えているか、熱を持っているかを表す「寒熱(かんねつ)」と、体力の有無や症状の現れ方を示す「虚実(きょじつ)」の大きく2つがあり、さらに「寒証(かんしょう)」、「熱証(ねっしょう)」、「実証(じっしょう)」と「虚証(きょしょう)」という4つに分けられます。

漢方の治療では、診断した証を元に、「冷えていれば温める」「滞っていれば巡りを良くする」「不足していれば補う」という具合に、それぞれの体質の特徴を補う漢方薬を処方することで、乱れた身体のバランスを整え、人が本来持っている自然治癒力を高めて、不調や病気を改善していきます。

同じ症状にお悩みの方でも、証が異なれば処方する漢方薬も異なるため、「他の人には良く効く漢方薬が自分には全く効果がない」ということも珍しくありません。また、同じ人であっても体質が変化すると薬が効かなくなることもあるので、その時その時の正確な証を見極め、適切な漢方薬を使用することが重要になります。

このように、漢方治療はそれぞれの患者様の証に基づいて行うことから、「オーダーメイド治療」とも言われています。適切な漢方薬を処方することで、体質そのものが改善されるため、「婦人科の治療で肌荒れも改善した」「むくみの治療で胃の調子も良くなった」など、主要なお悩み以外にも複数の嬉しい効果が得られることがあるのも、漢方治療の大きなメリットです。

体質 主な特徴
寒証
(かんしょう)
身体が冷えている 脈が遅い、低血圧、寒がり、汗をかかない、手足が冷える、顔が青白い、下痢気味など
熱証
(ねっしょう)
身体に熱がこもる 脈が速い、高血圧、熱がり、汗が多い、顔が赤い、口が乾く、便秘など
実証
(じっしょう)
体力がある
身体の抵抗力がある
血行が良い、声が大きい、疲れにくい、食欲旺盛、筋肉質
虚証
(きょしょう)
体力がない
身体の抵抗力が低い
血行が悪い、声が小さい、疲れやすい、肌がカサカサする、やせ型(または水太り)、寒がりで低血圧

漢方内科に適した症状

患者様の体質に合わせた治療を行う漢方は、風邪などの急性疾患から慢性疾患まで幅広い症状・病気の治療に用いることができますが、おもに以下のような治療を得意としています。

・体質のお悩み:疲れやすい、食欲不振、下痢しやすい、風邪をひきやすいなど
・高齢者のお悩み:腰や膝の痛み、足のしびれ、足がつりやすい、頻尿など
・女性のお悩み:冷え性、月経に伴う症状、不妊、更年期障害、むくみなど
・肌のお悩み:にきび、肌荒れ、しみ、脱毛症など
・ストレス:イライラ、睡眠障害、気分の落ち込み、胃痛など
・アレルギー:喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎など

漢方の診断法

西洋医学では、症状に関連する部位の検査を行い、その結果を基に病気の診断を行いますが、
全身の状態を現す「証」に基づいた治療を行う漢方では、医師の五感を駆使し、以下のような診察を行います。証を正確に見極めるため、肌荒れの治療の場合でも脈をとったり、お腹の状態を調べたりするなど、患部から離れた場所の診察が必要な場合もあります。

・望診(ぼうしん):顔色や皮膚のツヤ、目の色などを診る
・舌診(ぜつしん):舌の状態を診る
・聞診(ぶんしん):声の強弱や咳の音、お腹の音、身体の臭いなどを確認する
・問診(もんしん):症状、アレルギーの有無、生活習慣、食事内容、睡眠時間などを聞き取る
・脈診(みゃくしん):脈の状態を調べる
・腹診(ふくしん):お腹に手を当てて状態を調べる

併用診療の重要性

従来、東洋医学(漢方)と西洋医学は、別々の治療として行われてきましたが、両方を組み合わせることでより治療の有効性が高まることから、近年は、それぞれの優れた点を取り入れる「併用診療」を行うことも増えています。

当院の漢方内科でも、患者様の治療の選択肢を広げるため、漢方の治療だけに拘らず、必要に応じて西洋医学的な検査や治療を併用し、患者様に合わせた最適な治療をご提供いたします。

漢方薬について

西洋薬の多くは、科学的に合成された一つの有効成分でできており、「血圧を下げる」「細菌を殺す」「炎症を抑える」など、特定の一つの症状や病気に対して強い効果を持っているのが特徴です。
一方、漢方薬は、二つ以上の「生薬(しょうやく)*2」を組み合わせて構成されており、身体本来の働きを高め、身体自身が正常な状態に戻ろうとする力を高める作用を持つのが特徴です。
即効性のある西洋薬に比べ、漢方薬は比較的効き目が穏やかですが、一定期間、継続して服用することで薬の効果を実感していただくことが可能です。

*2生薬:自然界にあり、薬効を持つ植物の根や茎、葉などの植物や、動物、鉱物などを加工したもの。

漢方薬の処方は、自費診療で行っているところもありますが、当院の漢方内科では保険適用の漢方薬を使用しています。現在、保険適用されている漢方薬は148種類に上り、そのうち1種類は軟膏ですが、残りの147種類は、有効成分を顆粒や細粒、または錠剤にして飲みやすく製品化された「漢方エキス製剤」と言われるものです。
漢方エキス製剤は、あらかじめ定められた配合で作られているため、煎じ薬のように、お一人お一人の患者様に合わせて調整することは難しいですが、携帯に便利で飲むのに手間がかからず、漢方特有の味や臭いなども抑えられることから、治療を続けやすいのがメリットです。

当院では、おもに以下のような漢方薬を使用しています。

漢方薬名 おもな効能
五苓散
(ゴレイサン)
余分な水分を体に溜め込んでいる状態(水毒)から、体内の水分バランスを整える作用があります。
二日酔い、口の渇き、めまい、吐き気、強いむくみ、頭痛、下痢、急性胃腸炎などに効果がある漢方薬です。
呉茱萸湯
(ゴシュユトウ)
手足や胃腸の冷えをきっかけに起こる頭痛・吐き気に対して、胃腸を温めて症状を改善する作用があります。
慢性的な下痢・嘔吐・月経前症候群(PMS)にも効果がある漢方薬です。
釣藤散
(チョウトウサン)
朝に起こる頭痛、帽子をかぶっているような頭重感、日内血圧変動が大きい方、後頭部の鈍痛などに対して、脳の血管を広げて血流を改善する作用があります。
体内の水分バランスを整える作用もあるので胃腸が弱い方の頭痛やめまい、耳鳴りにも効果がある漢方薬です。
川芎茶調散
(センキュウチャチョウサン)
風邪や頭痛に対して、血行を改善して痛みを鎮める作用があります。
生理不順や更年期障害などにも効果がある漢方薬です。
芍薬甘草湯
(シャクヤクカンゾウトウ)
月経困難症、ホルモン異常症、こむらがえり、筋肉痛、筋肉疲労による腰痛、ぎっくり腰などに対して、筋肉の緊張をやわらげて症状を改善する作用があります。
胆石や尿路結石による痛み、生理痛にも効果がある漢方薬です。
小青竜湯
(ショウセイリュウトウ)
鼻水、アレルギー性鼻炎、花粉症、気管支喘息などに対して、発汗を促し体内の水分バランスを整えるほか、咳やアレルギー症状を抑える作用があります。
アレルギー性結膜炎にも効果がある漢方薬です。
消風散
(ショウフウサン)
皮膚のかゆみ、湿度の高い時期のじゅくじゅくした湿疹やアトピー性皮膚炎などに対して、湿潤をとる、炎症を抑える、排膿を促すなどの作用があります。
皮膚疾患に効果がある漢方薬です。

漢方薬の副作用

自然界にある生薬(動植物や鉱物など)が原料である漢方薬は、穏やかに作用するものが多く、身体に優しいというイメージがありますが、副作用が全く起きないというわけではありません。

漢方薬の副作用では、胃痛や胃もたれ、吐き気、下痢といった胃腸障害が比較的多く見られますが、発疹や肝機能障害、間質性肺炎、膀胱炎などを引き起こす可能性もあります。
また、生薬の種類によって特定の症状が出ることもあり、「甘草(かんぞう)」という成分が、むくみや高血圧を引き起こすほか、「麻黄(まおう)」という成分が動悸や不眠を引き起こすことが知られています。

万一、上記のような副作用が出た場合でも、服用時間を食後に変えたり、服用回数を減らしたりすると症状が改善することが多いですが、症状が重い場合や、長く続くような場合には服用を中止するか、漢方薬を変更する場合もあります。
いずれにしても漢方薬を服用して体調に変化が現れた時は我慢せず、速やかに医師または薬剤師にご相談ください。

Q&A

1)漢方治療のメリットとデメリットは何ですか?

漢方治療の一番のメリットは、「冷え」などの体質による症状や、病名が付かない「未病(みびょう)」などにアプローチできることです。
これらの症状は、患者様ご本人にとっては非常につらいものですが、通常の検査で異常が見つからないこともあるため、西洋医学では上手く対応できない場合もあります。
また、西洋薬による副作用が強く、治療の継続が難しい場合などに漢方薬が役立つケースもあるなど、上手に漢方薬を取り入れることで、治療効果を高めたり、治療の選択肢を広げたりすることが可能です。

一方、漢方治療のデメリットは、服用を開始してから効果が出るまでに時間がかかる上、検査の数値などでは効果が見えにくいことです。一部の即効性があるものを除き、漢方薬は緩やかに作用していくものが多いため、効果が現れるまでに、最低2週間程度は服薬を続ける必要があります。(1か月程度服用して症状が改善しない場合、薬を変更する場合もあります。)
また、漢方薬特有の味やにおいで、飲みにくさを感じる方もいらっしゃいます。ただし、そのような場合でも、オブラートなどに包んで服用していただくことで飲みにくさを軽減することは可能です。

2)漢方薬の効果的な服用法を教えてください。

有効成分の吸収を高めるため、漢方薬は原則、食間(食後2時間)または食前に服用します。
身体の冷えがある時は、白湯で服用することをおすすめしますが、通常、エキス製剤は、コップの水で服用していただいて大丈夫です。
なお、薬を飲み忘れてしまった時には、次の服用時間を待たず、気付いた時に服用してください。漢方薬の場合、服用間隔が多少ずれてしまう場合でも、一日の服用回数を守ることが大切です。

3)漢方薬の内服以外に漢方内科で行われる治療はありますか?

漢方の治療は、漢方薬の内服がメインとなりますが、必要に応じて、食事で体調を整える「食養生(しょくようじょう)」のアドバイスなどを行うこともあります。
また、当院では、漢方と西洋薬の治療でも十分な効果が得られない場合、より根本的な治療である「栄養療法」を受けていただくことも可能です。

人間の身体は、37兆個の細胞からできていると言われており、「栄養療法」は、その一つ一つを整えていくための方法になります。
人の身体に備わっているホメオスターシス(恒常性)*3は、ミトコンドリア機能の低下*4、腸内環境の低下、ホルモンバランスの乱れ、デトックス機能の低下などが原因となり、損なわれることがあります。

当院の栄養療法外来では、バイオケミカル検査*5を行うことでホメオスターシスが損なわれる原因を探り、栄養指導やサプリメンテーション(必要な栄養補助食品を、適切なタイミングで効率よく摂取させるための指導)によって改善を目指します。
栄養療法は自費診療となりますが、ご興味をお持ちの方はお気軽にご相談ください。

*3 ホメオスターシス(恒常性):身体を安定した状態に保つために内分泌系、自律神経系、免疫系に変化が起きる機能のこと。
*4 ミトコンドリア:細胞内に存在している細胞内小器官で、細胞内におけるエネルギー(ATP)生成の役割やアポトーシス(細胞死)において重要な働きを担っている。
*5 バイオケミカル検査:生体中で起こっている化学反応を調べる検査

アクアメディカルクリニック院長、寺田武史医師よりひとこと

当院では、西洋医学のいいところ、東洋医学のいいところ、そして場合によっては分子栄養学も取り入れ治療にあたります。西洋医学がいいとか、東洋医学が悪いとかはありません。それぞれのいいところだけを取り出して行う、「統合医療」を心がけています。

当院では、患者様のニーズや病態に合わせて治療をご提案させていただきます。
それぞれの治療内容をご説明し、十分にご納得いただけた場合にのみ、検査や治療を進めてまいります。無理に検査をお願いしたり、サプリメントなどの購入を強制したりすることは一切ありませんので、お気軽にご相談ください。

お問合せ・ご予約はコチラから

まずはお気軽にお問い合わせください

03-3637-1851

9:00~18:30(木・土 12:30まで) 休:日・祝