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経鼻内視鏡による胃カメラ検査
安心して苦痛の少ない胃カメラ(胃内視鏡検査)を受けていただくために
技術の進歩により、内視鏡はとてもコンパクトになりました。
経鼻内視鏡により、口からではなく鼻から入れることが可能になったため、以前ほど苦しい思いをすることなく、胃カメラの検査をお受けいただけます。
なぜ胃カメラ検査(胃内視鏡検査)が大切か
日本人の胃がんの罹患者数は、高齢化社会の影響で非常に増えています。特に40歳以降から急激に胃がんの罹患率が高くなります。しかし、胃がんによる死亡数はあまり増減していません。胃がんになりやすい年齢の人口が増えていながら、死亡率でみると胃がんは減少しているのです。つまり、胃がんの早期発見と早期治療が胃がんによる死亡率を減らしていると考えられます。
胃がんの年齢階級別罹患率【2018年】
出典元「国立がん研究センターがん情報サービス」
胃がんの罹患数と死亡数 年次数位
出典元「国立がん研究センターがん情報サービス」
胃がんの早期発見の取り組みとして、胃がん検診や会社の健康診断で実施されるバリウム検査があります。バリウム検査では胃の形状や動き、凹凸などを把握することが可能ですが、がん化する前のわずかな病変(小さな隆起や凹み、粘膜の色の変化など)を認識することができません。一方、胃カメラ検査(胃内視鏡検査)は小型カメラで直接胃の中を観察するので、わずかな病変でも認識することが可能です。がんが疑われる場合はその場で組織の一部を採取して病理診断をしたり、ピロリ菌の痕跡を発見することも可能です。
※胃がんの9割はピロリ菌の検査と除菌によって予防できるといわれています。
ピロリ菌について詳しくはこちら
胃がんは初期症状がほとんど無く、進行がんにならないならない限り症状が出ないことが多い疾患です。胃がんを早期発見・早期治療をするためには、定期的に胃カメラ検査(胃内視鏡検査)を受けることが重要となります。
このような症状がある方は内視鏡検査をおすすめします
- みぞおちが痛い
- 胸焼け、胃もたれが続く
- 胃の痛みや吐き気がある
- 胃酸が逆流する感じがする
- 喉や胸につかえ感やがある
- 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃ポリープ、十二指腸ポリープを指摘されたことがある
- 食道がん、胃がんを治療したことがある
- ピロリ菌の除菌治療をしたことがある
- 原因不明の貧血がある
- 肝硬変といわれている
- 赤黒い便が出た
- 食欲不振、体重減少が気になる
- 健康診断で異常が出た など
当院の胃カメラ(経鼻内視鏡)検査について
POINT1. 「オエッ」という嘔吐感がない
口から挿入する経口内視鏡検査では、舌の付け根に内視鏡がふれ、咽頭反射が起こりやすくなってしまいます。
しかも、検査の前までに胃の中を空っぽにしておくため、吐くものがなく、余計に苦しさが生じてしまいます。
当院で行なっている経鼻内視鏡検査は、カメラは鼻腔を通って食道に入り、舌根にふれないため、咽頭反射はほとんどありません。もちろん、それでも不快感の強い患者さんには麻酔を使うことも可能ですので、寝てる間に検査を終えることもできます。その際にはお申し付けください。
POINT2. 検査中に会話ができる
口が塞がれていないので、検査中にしゃべることができます。当然ですが、口から挿入した場合は、口が塞がれてしまうのでしゃべることができません。
当クリニックでは、検査の最中に「いっしょに確認をしましょう。気になるところはありますか?」など、積極的に患者さんへ話し掛けます。検査中は自由にしゃべることができるため、医師からの問いかけにもしっかりと応えることができます。コミュニケーションを通して、緊張していた患者さんが徐々にリラックスしていく様子が良く分かります。患者さんにしゃべってもらうことで、信頼関係も生まれ、安全な検査にもつながります。また体感時間も短く感じられる効果があるようです。
POINT3. 体にかかる負担や苦痛が少ない
のどの麻酔(咽頭麻酔)は行いません。
そのかわり、左右の鼻から痛みを抑えるための麻酔(鼻腔麻酔)を行います。左右の鼻、どちらでも結構です。
鼻の通り道(鼻道)のむくみを取るために、血管収縮剤を鼻腔にスプレーして鼻道を広くします。また、これにより鼻腔の毛細血管が収縮して、鼻出血の予防にもなります。
POINT4. 除菌済みの内視鏡を使用
最近、ピロリ菌や一般細菌の内視鏡介在感染が問題となっていること、感染症防止のため、当院では、内視鏡用洗浄消毒器を使用し清潔な内視鏡での検査・治療を徹底しています。
また新型コロナ感染症対策も徹底し、患者様・スタッフの院内感染防止対策に努めております。
当院の新型コロナ感染症対策についてはこちら
胃カメラ検査(経鼻内視鏡検査)でわかる病気
- 胃炎、十二指腸炎
- 胃潰瘍、十二指腸潰瘍
- 胃ポリープ、十二指腸ポリープ
- 食道がん、胃がん、十二指腸がん
- 胃アニサキス症
- 食道静脈瘤
- 食道粘膜下腫瘍、胃粘膜化腫瘍
- 好酸球性食道炎
- 逆流性食道炎・食道裂孔ヘルニア
- ピロリ菌 など
胃がんの病変はかなり微小ではありますが、早い時期に検査することによって、完治可能の症例が多数見受けられます。
胃カメラ(経鼻内視鏡)検査の流れ
検査後の注意点
- 内視鏡検査の際に、鎮静剤を使用した方は、ぼーっとすることがありますので、自転車、お車の運転はお控えいただいております。来院の際はご留意くださいますようお願いします。
- 鼻血が出る可能性があるので鼻を強くかまないようにしてください。
- 飲食は30分~1時間後から可能です。
- 組織を採取した場合は、当日の激しい運動を避け入浴はシャワー程度にしましょう。また、刺激のある食事は2~3日控えるようしましょう。
検査前日
夕食は軽めに、21時までに済ませてください。水・お茶は飲んでいただいて大丈夫です。
喫煙も控えるよう、お願いいたします。
また、常用薬を服用されている方は、事前に医師にご相談ください。
検査に備えて、早めの就寝を心掛けましょう。
検査当日
①朝食を抜いて、水分以外の飲食は控えてご来院ください。
常用薬を服用されている方は、医師にご相談ください。
検査に支障を来すお薬や緊急を要しないお薬は、検査終了後に服用していただくようにお願いしております。
②簡単な問診を行います。
③胃の中の泡や粘液を消す液を少量(80ml程度)飲んでいただきます。
④鼻の通りを良くする局所血管収縮剤を鼻腔にスプレーします。
⑤鼻腔から局所麻酔薬をゆっくり注入します。
⑥局所麻酔薬を塗ったスティック(検査時のスコープとほぼ同サイズ)を鼻腔に挿入して、痛みや違和感が抑えられているか確認しながら慣らしていきます。
⑦胃の中をしっかり観察できるように、胃の動きを一時的に止める薬を注射します。
⑧麻酔が効いてきたら検査を始めます。
検査時間は5~10分程度です。モニターに映る自分の胃の状況を見ながら、医師とコミュニケーションをとることも可能です。必要があればその場で一部の組織を採取して病理診断します。
検査後
麻酔の影響がなくなるまで、院内でお身体を休めていただきます。気分が悪い時は、すぐに医師や看護師にお伝えください。
お休みいただいた後、診察室で内視鏡画像をモニターで見ながら医師の説明を受けていただきます。検査結果から治療が必要な場合は、お薬の処方や、今後の治療方針についてお話いたします。組織を採取して検査に出す場合は、結果が出るまで約2週間を要します。
当院で導入している経鼻内視鏡について
オリンパス社製の極細径スコープを使用
ハイビジョン画質に対応し、検査の画像が精細なため、病変部を詳細に観察できるだけでなく、病変部の周囲もより広く、クリアにとらえることが可能です。
また従来の経口内視鏡検査用のスコープは外径が8~9mm程度なのに対して、当クリニックで採用している経鼻内視鏡の外径は5~6mm程度の極細です。挿入部も柔らかくオエッとなる嘔吐反射を抑えられるため、患者様の苦痛を軽減することができます。
NBIシステムについて
当クリニックは挟帯域光観察(NBI=Narrow Band Imaging)システムを導入しています。NBIシステムとは、粘膜表面の微細な血管を観察するシステムで、内視鏡診断を飛躍的に向上させます。
がんやポリープ等の腫瘍は、粘膜表面の微細な血管パターンが変化するため、通常の内視鏡検査ではわかりにくい腫瘍の発見の診断に有用です。また、病理診断にも有用で、世界的にもとても注目されている画期的な内視鏡診断システムのひとつです。
ハイビジョン対応とNBIシステムを組み合わせることで、より早期の状態で異常を発見し、身体に侵襲の少ない治療法を行うことが可能になりました。
検査費用・料金
胃内視鏡 (観察のみ)
1割負担 2,000円前後
3割負担 6,000円前後
胃内視鏡 +病理組織検査
1割負担 3,000~4,000円前後
3割負担 9,000~12,000円前後
※別途、診察代・検査説明料がかかります。ご了承ください。
※当院では静脈麻酔を使って、眠っている間に検査が可能です。ご希望の方はweb予約時、診察時におっしゃってください。
よくある質問 -Q&A-
当日、予約なしでも検査は可能ですか?
基本的には予約診療になりますが、緊急性のある場合、当日事前検査予約が入っていなければ、胃カメラは当日可能なことがあります。
ただし、朝食を抜いておく必要がありますので、水分以外の飲食はお控えください。もし朝食を食べてしまっていた場合には、午後以降であればお受けできることがありますので、一度ご相談ください。
どれくらい時間がかかりますか?
検査自体は5〜10分ほどです。
検査後の説明のお時間もございますので、余裕をもってお越しください。
検査で病気に感染しませんか?
当院では検査に使用したすべての内視鏡を、毎検査ごとに内視鏡用洗浄消毒器(クリーントップWM-SⅡ、カイゲンファーマ社製)で消毒しております。
内視鏡検査で受診された患者様が大腸菌O-157やピロリ菌などの細菌肝炎ウイルスなどに感染することないよう細心の注意を払っております。
また胃カメラ洗浄に使用する強酸性電解水は人に対する安全性に優れ環境にも優しいとされています。安心して検査をお受けください。
当院での新型コロナ感染症対策について
検査は保険が適応しますか?
胃痛など、症状があって検査を行う場合には、保険が適応されます。
症状がなく、胃腸の状態を見るだけでの検査ですと、保険外(ドック)の扱いとなります。
アクアメディカルクリニック院長、寺田武史医師よりひとこと
現在胃がんによる死亡率は減少しているものの、罹患率は増えています。これは先進国ではピロリ菌罹患が減少しているが、日本人は未だ減少率が緩やかであることが原因とも考えられています。ピロリ菌といえば、慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、そして胃がんの原因となることは有名ですが、胃MALT腫、血小板減少性紫斑病などの原因となる報告もあります。ピロリ菌にはまだまだわかっていないことも多く、今後ピロリ菌関連疾患も増えてくるかもしれません。「ピロリ菌除菌により胸焼けがひどくなり、逆流性食道炎の原因となる」という除菌に否定的な意見もありますが、私は発見されれば除菌することを強くお勧めいたします。現在、呼気試験、血液検査、尿検査、便検査、病理組織検査など保険適応内での検査が主流ですが、当院では特殊な遺伝子検査(自費検査)も行うことができます。ピロリ菌を除菌することで、今までの不定愁訴が劇的に改善することも多く経験しています。そのようなお悩みを抱える患者さんがいらっしゃいましたら当院まで是非ご相談ください。