みなさん、こんにちは。
院長の寺田です。
この記事では、慢性上咽頭炎ついて解説していきます。
動画で解説を聞きたい方はコチラ▼
慢性上咽頭炎とは?
皆さんは慢性炎症をご存知でしょうか?
- 抜歯をしなければいけないほどの虫歯がある
- 40℃以上の発熱がある
- 手術をしなくてはいけないほどの腹痛がある
これはわかりやすい急性炎症です。
これとは逆に、慢性炎症とは、上咽頭炎がある、歯周病がある、脂肪肝がある、リーキーガットがある、肥満は炎症体質です。ストレス、不眠から炎症は引き起こされますし、老化は炎症性サイトカインを放出します。炎症からうつが引き起こされるのは今となっては周知の事実です。
尖っていない針の先で、トントントンと痛くも痒くもない刺激が持続的に続く、これが慢性炎症です。
今回はその中の慢性上咽頭炎についてお話しいたします。
慢性上咽頭炎所見
左が直接観察した粘膜所見で、右が特殊なレーザーを照射した所見です。
左は一見、綺麗な正常粘膜のように見えますが、レーザーを照射すると、点状の出血班や敷石を敷き詰めたような所見を認めます。これが慢性上咽頭炎の粘膜所見です。
上咽頭炎の弊害
1)炎症が全身に波及する
上咽頭に炎症を引き起こす事で、リンパ球などの免疫細胞が活性化されると、炎症性物質が血流に乗って全身を駆け巡ります。
上咽頭に炎症(原因)があるにも関わらず、全然関係ない、遠く離れた腎臓、関節、皮膚などに炎症を引き起こすわけです。
2)不定愁訴の原因となる
また、上咽頭は脳および、ホルモンを分泌する下垂体にも近く、すぐ後ろの脊髄からは様々な臓器に関係する自律神経である迷走神経の根幹があり、心臓、気管支、胃や腸管に影響を及ぼします。
こちらも上咽頭の炎症によって、頭痛、めまい、全身倦怠感、集中力低下、動悸、胸痛、腹痛、便秘や下痢などの胃腸障害を引き起こすわけです。
上咽頭炎の治療(EAT療法)
根治術はEAT療法(上咽頭擦過治療)です。
塩化亜鉛溶液を染み込ませた綿棒で鼻から、もしくは口からゴシゴシこするわけですが、これを数回~10回ほど繰り返します。1~2回は強い痛みを伴いますが、そのあとは慣れてきます。
当院では、毎日胃カメラ検査がありますが
胃部不快感を訴える患者さんの6~7割といっていいくらいの方が上咽頭炎を患っている印象があります。
実際、上咽頭炎は全く自覚症状がなくて、痛くも痒くもないことも多いので見逃されがちです。
しかし、 このような ”慢性炎症” は様々な病気の原因になることがわかっていただけたと思います。しかも、原因のわからない症状、「不定愁訴」の、最も見逃されやすい原因の一つなんだ、ということもあるので注意が必要です。
いかがでしたか?
ピロリ菌『いません』、胃酸の分泌『問題ありません』、胃粘膜『綺麗です』、お腹の動き『問題ありません』。
しかし、「胃が変なんです」、お腹を指差して「この辺がモヤモヤするんです」と訴える患者さんは、上咽頭炎が原因かもしれませんよ。