院長ブログ

2)炎症の抑制

アトピー性皮膚炎におけるステロイド療法は確かに「炎症を抑える」という観点からみると大変画期的な治療法です。ところがもう一方では、皮膚の本来もっているバリア機能をさらに損なってしまう。というデメッリトがあります。そのため一時的には炎症は収まるが、バリア機能がどんどん破綻していくので、症状は塗っても塗っても悪化していくことになります。その先に待っているのがどんどん強いステロイドじゃないと効かなくなってしまう、ということなんです。

「炎症」について考えるとき、毎日どんな油を取るかということは非常に重要です。EPA、DHAなどのフィッシュオイルや、えごま油、亜麻仁油などのオメガ3系脂肪酸は炎症を抑える働きをします。エスキモーの人たちには、アトピーや喘息といった炎症性疾患をもってる人たちはほとんどいないと言われています。これは彼らが魚をたくさん食べているアザラシなどの肉を常食としているからなんです。アザラシの肉には大量にEPAが含まれています。このような油には炎症を抑える働きがあるのです。

また、体の炎症を抑える働きのあるホルモンとして、「コルチゾール」があります。コルチゾールはコレステロールを原料として体内で作られます。健康診断で「悪玉」と言われ目の敵にされるコレステロールですが、低すぎてはコルチゾールが作られず、炎症を抑えることができなくなってしまいます。

3)皮膚バリア機能の正常化

私はアトピーの患者さんには、お風呂で石鹸、シャンプーは使わないよう指示します。石鹸は皮膚のバリア機能を壊します。また、皮膚も粘膜も爪も髪も、すべてはタンパク質をもとに作られています。そして皮膚のコラーゲンは「タンパク質・鉄・ビタミンC・亜鉛」を原料にできています。加えて、皮膚機能の改善には、ビタミンAは欠かせません。つまり皮膚をつくるうえでまずこの材料が足りてない人は、より皮膚が脆弱になってしまうのです。必要以上に、皮膚を綺麗し過ぎず、十分なタンパク質、ビタミン、ミネラルの補給は必須です。

アトピー性皮膚炎は、根本から完全に治すことは難しいと言われていますが、「ヒトのカラダは食べ物でできている」という観点から、自分のカラダにあう食べ物やあわない食べ物、腸内環境は整っているか、栄養素不足など、自分のカラダを知ることが治療の第一歩となります。