タバコは、ガンをはじめ、心臓病、脳卒中、COPD等の肺の病気を
引き起こす原因となることは誰もがわかっているにもかかわらず
なかなか禁煙に踏み切れない方がたくさんいらっしゃいます。
現在男女合計での成人喫煙率は19.5%。
2010年のタバコ税増税で減ったとはいえ、値上げの効果は一時的で
消費者側が安いタバコにシフトし、本数を節約することにより
期待された程の禁煙効果はなく
むしろ最近の喫煙率は微増傾向にあるそうです。
「酒は百薬の長」とも言われますが、タバコはひとつもいいことはありません。
リラックス効果?
タバコが原因で毎年13万人が死亡し
受動喫煙で年間6800人がなくなっていることを考えると
そのようなことは言ってられません。
タバコは
タバコ産業(生産、製造、流通)と
タバコ税によって国家財政を潤す製品のため
日本では未だに抜本的な禁煙対策が行われていません。
しかし、タバコ産業とタバコ税の4兆円市場のうち、税収が2兆円。
それに対し、タバコが原因の医療費が1.8兆円
その疾病で働けなくなった労働損失が3兆円であり
明らかに税収を上回ることがわかります。
タバコ消費を抑制すると税収が減るという議論もありますが
実は、タバコを減らすことは
健康面と経済面の両方の損失を減らすことになるのです。
禁煙補助剤に関しても、ガム、パッチは街中の薬局で手に入りますが
内服薬は医療機関でしか手に入りません。
クリニックでも処方は出来ますが
処方するには関東厚生局への届け出が必要で
色々な条件をクリアーしたクリニックのみが処方できるという縛りがあります。
健康保険を使い、安価で手に入る禁煙補助剤では
禁煙に失敗しても、また処方してもらえばいいといった安易な考えが生まれ
そもそも禁煙できない、医療費がかさむだけ、ということがあるのです。
自分も以前、ヘビースモーカーでした。
何度も禁煙に失敗した経験があるので
禁煙できない方の気持ちは非常によくわかります。
やめられた理由は、「タバコ臭い医者なんて信用できないでしょ。」でした。
当院では健康保険を使った禁煙補助剤の処方は出来ませんが
時々こういったお話はさせていただいています。
「ローマは1日にして成らず」です。
何度も失敗を経験し
それでも何度も挑戦し
そして禁煙できた方の表情は、本当に自信に満ちあふれています。
「やめたい人をやめさせる」
それが、現代社会と次世代の命を守るための私たちの使命なのかもしれません。