生活習慣の乱れによって生じる、いわゆるみなさんが言うところの糖尿病である、2型糖尿病ってどんな病気でしょうか?
次のグラフをご覧ください。
最近の健康ブームで、摂取エネルギーは変わっていないのに、脂肪摂取量と車の販売台数は、うなぎ昇りです。
さらに平成28年の厚生労働省の調査では、糖尿病が強く疑われる人は約1000万人、予備群と考えられる人は約1,000万人で、両者を合わせると約2,000万人もいることが明らかになりました。
適切な指導の欠如で、過去50年間で患者数50倍に増えているのです。 このことから、糖尿病の根本原因を分子栄養学的に考えると
1) 質の悪い油の摂取による「慢性炎症」と
2) 運動不足による「インスリン抵抗性」です 。
「インスリン抵抗性」とは、インスリンの効きが悪くなることです。その原因は「慢性炎症」と「運動不足」にあります。
1) オメガ3系脂肪酸は慢性炎症を抑える
α-リノレン酸である亜麻仁油や、魚油であるEPA、DHAなどのオメガ3系脂肪酸は、炎症性サイトカインの産生を抑えますが、肉やバターなどの飽和脂肪酸の取り過ぎは炎症を惹起してしまいます。質の悪い油、特にマーガリンやショートニングなどのトランス脂肪酸などはもってのほかです。オメガ6系の取り過ぎも要注意です。
2) 運動はインスリン抵抗性を改善する
食後血糖が上昇し、インスリンが受容体に結合すると、GLUT-4(グルットフォー)というブドウ糖輸送体が細胞膜表面に移動してきます。これにより、血液からブドウ糖を細胞内に取り込むことができるのです。
「運動」はGLUT-4の発現を亢進し、細胞膜表面への移動を活性化します。 また、エネルギー産生工場であるミトコンドリアの数を増加させ、エネルギー消費、脂肪燃焼効果を促進、インスリン抵抗性を改善させます。
これに加え、農耕民族である日本人は、血糖値が低すぎることはあっても高くて困るような歴史がなかったために、インスリン分泌機能が発達しておらず、血糖が上昇してもすぐにインスリンが分泌されない、「インスリン初期分泌不全」体質の人が意外に多い民族です。改善のためには、「血糖をゆっくり上げる」意識を持つこと。ごはん(炭水化物)は早食いすることなく良くかむこと。
また、血糖値がゆっくり上がる野菜・食物繊維豊富な食材をまず先に摂取することが重要です。 もちろん、甘いもの(砂糖、人工甘味料、炭水化物など)の食べ過ぎがダメなことは言うまでもありません。しかし、それだけを気にしていても、糖尿病の発症は抑えられないわけです。