脳を持たない動物は存在するが、腸を持たない動物は存在しません。
我々人類を含む動物にとって
腸は食物からエネルギーや栄養成分を吸収するきわめて重要な器官です。
その一方で
腸は生体と外界とのインターフェースとして、多くの外来抗原に絶えず暴露されており
常に外来の微生物やウィルス攻防の最前線として戦い続けなくてはなりません。
腸には免疫細胞の約6~7割が集中しているほか、神経系や内分泌細胞も点在しています。
これを腸エコシステムと呼び、腸機能だけでなく
全身の恒常性を保つのに重要な役割を果たしています。
外部からの様々な刺激やストレス
あるいは宿主の加齢などによりそのバランスが一度崩れると
消化器疾患のみならず、自己免疫疾患や生活習慣病(高血圧、高脂血症、糖尿病など)
などの全身性疾患を発症するといわれています。
我々が健康維持するためには、腸エコシステムを維持するためにはどうしたら良いでしょうか?
ヒトにとって有用な乳酸菌やビフィズス菌などの「プロバイオティクス」や
ビオフェルミン製剤のような「プレバイオティクス」を摂取することです。
プロバイオティクスとはヒトにとって有益な効果を持つ細菌やそれを含む食品のことで
プロバイオティクスの腸管内での増殖を促すものをプレバイオティクスといいます。
皆さんご存じのようにビフィズス菌の中にはインフルエンザなどを予防できる菌株や
大腸癌のリスクを低下させる菌株
さらにはピロリ菌の定着を抑制できる菌株などもあることが報告されています。
前述のように腸内細菌叢は加齢に伴って変化し、いわゆる善玉菌が減少していくことからも
腸内環境を乱さないような努力と
プロバイオティクスを活用し
腸エコシステムの構築で我々の健康を維持するように心がけましょう。