外来診療をしていると、多くの患者さんが訴えられる症状に頭痛があり
ロキソニンなどの鎮痛薬で症状が改善すればいいのですが
治療に難渋することに度々出くわすことがあります。
もちろん脳血管障害や脳腫瘍などを否定することは重要です。
しかし、それとは違う 頭痛のようだ…。
大酒家の男子に多い群発性頭痛じゃない…。
片頭痛、緊張型頭痛?それとも混合型…?
そういった時、漢方がいい効果を示すときがあります。
今回はそのお話です。
「頭痛」の漢方的な捉え方として
○ 気の低下・倦怠→「気虚」
○ 情動調整の失調→「気うつ、気逆」
○ 血の不足→「血虚」
○ 血の流れが悪い→「お血」
○ 水分調整の失調→「水毒」
気血水それぞれの不調が「頭痛」原因の一つとして認識すべきもの
として考えなくてはなりません。
1)五苓散(ゴレイサン)
なんといっても「頭痛」と来たら「水毒」です。
口渇があり、めまい、嘔吐しやすい、浮腫みが強い、下痢しやすい
白く湿った舌苔、歯痕舌(舌に歯形が残る)
天気や気圧の変動で増悪しやすいはキーワードです。
2)呉茱萸湯(ゴシュユトウ)
手足が冷える虚弱な方で、嘔吐を伴う頭痛などがキーワードです。
吃逆(しゃっくり)にも効果があります。
3)釣籐散(チョウトウサン)
胃腸虚弱な方の頭痛、めまい、耳鳴り、不安・不眠に効果があります。
高血圧の方の頭痛(特に早朝の頭痛、日内血圧変動が大きい方)
後頭部の鈍痛、帽子をかぶっているような頭重感などがキーワードです。
4)川芎茶調散(センキュウチャチョウサン)
感冒の初期にみられる頭痛に使用されます。
五苓散や呉茱萸湯、釣籐散で効果ない例に試してみるといいかもしれません。
いずれの処方も
切れ味としては西洋医学の薬にはかなわないかもしれませんが
以外と著効する例を経験しているのです。