胃カメラをやったことのある方はわかると思いますが
胃粘膜の ただれや発赤した部分をお医者さんが生検鉗子でつまむ。
しかし、その時「痛い」とは感じない。
ちょっとほっぺをつままれただけで痛いのに
胃粘膜を引きちぎられて痛いと感じないのは不思議だと思いませんか?
これは
つねられた「体性痛」と
ちぎられた「内臓痛」は違うということです。
不思議なのですけれど、いわゆる管腔臓器と言われている内蔵は
普通の機械的刺激にはほとんど反応しないのです。
かなりガッツリつまんでもです。
でも、下痢でお腹が痛くなりますよね
ガスでお腹が張って痛くなりますよね
胃潰瘍で、胆石で、うずくまるほど痛くなった方いらっしゃいますよね
虫垂炎で七転八倒した経験ある方もいるかもしれません。
これはどういうことでしょうか?
腸管が強く収縮したり、拡張したり
基礎に炎症があるとすごく痛い。
炎症が腸管の外側の腹膜や、肺の外側の胸膜に及んでしまうとすごく痛いのです。
例えば、我々はいつも胃酸がでているのですけれど
胃酸が出ていてもお腹は痛くない。
ところが、胃炎や胃潰瘍があると胃酸の分泌によってものすごく痛くなるのです。
因みに「虚血」も痛いです。
腸閉塞による腸管の虚血や
心臓の血管が虚血になる心筋梗塞などがそれにあたります。
また、指をちょっと切っただけで痛いのに
お腹は痛いが、どこが痛い?って言われると… ん〜 … 全体かな?…。ってないですか?
これは
体表の痛みの場合、速く刺激が伝わる神経線維の割合が多く
内臓の場合は、伝わり方の遅い神経線維が多いため
鈍く、遅く、局在がどこだかわからないような痛みが中心になってくるのです。
しかし、生命維持という観点からは、当然内蔵も敏感になります。
腫脹や膨張、収縮や虚血など
このままでは、俺の身体はヤバイ!ということになると
むしろ体表面よりも強く反応し、信号を送るのです。
面白いですね。
あれ? 面白くない?
話長い?
おしまい。