自分はトライアスリートであり
友人にもトライアスリートやスポーツ愛好家の方がたくさんいます。
ま、自分はプロではなく
あくまでエイジグルーパーとしての競技参加であり、ドーピング検査とは無縁ですが
プロ・アスリートの患者さんもいらっしゃるため
今回は、ドーピングと漢方について考えてみました。
まず、漢方は複合成分であり
「全くドーピングに引っかかりません!安心してください!」
と言い切れるものはないのが現状です。
ただ、明らかに禁止薬物に該当する成分を含有する生薬・注意すべき生薬はあります。
「麻黄」と「麻子仁」「半夏」です。
麻黄のエフェドリンは有名ですが
半夏にもエフェドリンが微量に含まれていることあります。
しかし、半夏に含まれる麻黄は微量なので
スポーツ選手に使用されている例もあるにはあるのですが
避けて頂くのが無難です。
麻子仁がなかなかの曲者です。
原料は麻の実なので、カンナビノイド様物質が含まれていることがあります。
エフェドリンは尿中の濃度の規定がありますが
カンナビノイドはごく微量だとしても検出されてはいけませんので
特にご注意頂きたい生薬です。
麻子仁を含む処方は3処方のみです。
「TJ-64炙甘草湯」「TJ-51潤腸湯」「TJ-126麻子仁丸」です。
また、禁止物質ではありませんが
監視プログラムに含まれる物質(将来的に禁止される可能性あり)として
「カフェイン、プソイドエフェドリン、シネフリン」などがあります。
カフェインは茶葉、シネフリンは、ミカン科の植物に広く含有され
呉茱萸、陳皮、枳実(枳殻、橙皮、橘皮)が該当します。
当院でスポーツ愛好家やアスリートに良く処方する
「TJ-25桂枝茯苓丸」「TJ-48 十全大補湯」
「TJ-53 疎経活血湯」「TJ-68 芍薬甘草湯」に関しましては
「麻黄」「麻子仁」「半夏」を含みません。
(しかし、疎経活血湯が監視プログラムの陳皮(みかんの皮)を含みます。)
漢方薬のTUE(治療目的使用に係る除外措置)申請については
全く禁止物質が含まれていないことを証明しなければならず承認されにくいようです。
上記は現在の規定であり、世界アンチ・ドーピング規程は毎年改訂されますので
定期的にご確認される事が必要です。
ドーピングコントロールは競技によって異なるところもありますので
所属する競技団体の医事委員会に問い合わせて下さい。
また、薬に関しては
日本アンチ・ドーピング機構(JADA)でも問い合わせを受け付けているそうです。