栄養療法 院長ブログ

みなさん、こんにちは。

院長の寺田です。

この記事では

・「GLP-1受動体作動薬」にはどのような効果があるのか

・注射と飲み薬など種類や使用頻度、副作用について

など、基本的なことをお伝えしたいと思います。

 

『アメリカやヨーロッパでは肥満治療薬として認められている』『約9割の患者に1kg〜15kg の体重減少』

と聞くと、いいことばかりのような「痩せ薬」GLP-1。

しかし、適応や副作用をきちんと理解せずに、肥満でもない若者が安易に医療ダイエットに走る傾向があるようです。

 

動画で解説を聞きたい方はコチラ▼

 

GLP-1について

現在、自費診療での「痩せ薬」としてネットでも話題で、購入できるようになっている「GLP-1」。

今回は体内でも合成されるGLP-1という消化管ホルモンの働きについて、基本的な知識から効果の是非についてお話ししたいと思います。

 

今後GIP(ジーアイピー)+GLP-1製剤も国内で購入できるようになる予定となっています。

具体的にはGIPとGLP-1は総称してインクレチンと呼ばれます。食事を摂取したときに上部消化管、そして下部消化管からも分泌され、血糖値が上昇するとインスリン分泌を促すほか、血糖上昇を促すグルカゴン分泌を抑える作用があります。

しかし、インクレチンは体内でDPP-4という酵素によって分解され、その効果は数分しか持続しません。
GLP-1 受容体作動薬は、GLP-1 のアミノ酸配列をやや変更することなどにより、DPP-4 に分解されにくくした薬剤になっています。

 

「GLP-1受動体作動薬」の効果と種類、副作用

GLP-1の作用には、血糖降下作用、脂質代謝亢進作用があり、それに伴い体重が減少します。

副作用としては、便秘悪心嘔吐食欲減退は多く認められるも、低血糖は頻度不明とされている程度の副作用です。力が入らない、だるい、冷や汗が出る、顔色が悪いなどの症状が出た場合は低血糖に陥っている可能性があります。

投与法は、副作用を抑えるため、まずは少量から、問題なければ徐々に増量していきます。現在注射剤と内服薬があり、内服薬は毎日ですが、注射剤は1週間に1回という製剤もあります。

直接投与するインスリン製剤と違い、インスリンを出しやすくする作用のGLP-1製剤は、実際低血糖は少ないとされていますが、リブレなどの血糖測定器を用いると低血糖になっている時があるので注意が必要です。

 

日本での適応は?

日本では糖尿病薬としてしか適応が取れてないですが、今後臨床試験が進んだ場合、将来的にアメリカのように肥満治療薬として承認される可能性はあるのか?

有名なイギリスの文献で、糖尿病でない人がGLP-1ダイエットをするとどうなるかを計測したものあります。その実験では、患者3731名に毎日3.0mgのビクトーザ(リラグルチド)というGLP-1製剤を54週投与し体重増減を見るというものでしたが、結果から言うと約9割の患者に1kg~15kg の体重減少が見られたということです。

そのため、アメリカやヨーロッパでは肥満治療薬として認められています。

しかし、これはBMI 30~35以上の方で、日本人でBMI 30は極々稀で、心配なのはGLP-1に手を出す女性はBMIが低いにも関わらず、もっともっと痩せたい、という方ばかりだということです。

実はそこに拒食症などの精神疾患が隠れていることも少なくないのです。

 

いかがでしたか?

今回はこの辺で終わりにしたいと思っています。次回はGLP-1を適応のとれていない「抗肥満薬」として使用することに対する是非について、私の考えをお話ししたいと思います。