消化器内科

慢性胃炎とは、胃の粘膜に炎症が長く続いている状態です。

胃もたれ、みぞおちの痛み、胸やけ、吐き気、食欲不振などが出ることもありますが、なかにはほとんど症状がないまま進行する方もいるため、早期発見・早期治療がカギとなります。
特にピロリ菌感染が関係している場合、胃粘膜の炎症が長く続くと、萎縮性胃炎や胃がんリスクにも関わることがあります。

この記事では、慢性胃炎の治し方や受診の目安まで詳しく解説します。



慢性胃炎とは

慢性胃炎の女性のイメージ画像

慢性胃炎とは、胃の粘膜に慢性的な炎症が起こっている状態です。

胃もたれ、みぞおちの痛み、胸やけ、吐き気、食欲不振などが出ることもありますが、症状がほとんどなく、健診や胃カメラで初めて指摘される方もいます。

慢性胃炎の原因として特に多いのがピロリ菌感染です。
ピロリ菌感染が長く続くと、胃粘膜が薄くなる萎縮性胃炎へ進行し、胃潰瘍や胃がんのリスクに関わることがあります。

慢性胃炎の症状・原因・検査について詳しく知りたい方は、以下のページもご覧ください。
慢性胃炎



慢性胃炎の受診の目安

チェックリスト

慢性胃炎は急を要さないこともありますが、なかには胃潰瘍、胃がん、逆流性食道炎、胆のう・膵臓の病気など、別の原因が隠れていることもあります。


早めに受診したほうがよい症状

次のような症状がある場合は、早めに消化器内科へ相談しましょう。

症状・状況注意したい理由
黒い便が出る胃や十二指腸からの出血が疑われることがあります
吐血、強い吐き気、食事が取れない胃潰瘍や強い炎症などの確認が必要です
体重が急に減ってきた胃がんを含む重大な病気の除外が必要です
貧血を指摘された胃からの慢性的な出血や自己免疫性胃炎が関係することがあります
50歳以上で胃の不調が続く年齢とともに胃がんなどのリスクも考える必要があります
市販薬を使っても繰り返す原因を確認せずに薬だけ続けるのは避けたい状態です
健診で慢性胃炎・萎縮性胃炎を指摘された症状がなくても胃粘膜の状態やピロリ菌感染の有無を確認したほうがよい場合があります

健診で慢性胃炎・萎縮性胃炎を指摘された場合

健診で「慢性胃炎」「萎縮性胃炎」「胃粘膜萎縮」「ピロリ菌感染の疑い」などが指摘された場合、症状がなくても放置しないことが大切です。

健診で行われるピロリ菌検査では、胃粘膜の萎縮の程度、潰瘍、ポリープ、胃がんを疑う変化までは十分に分かりません。
医療機関で胃カメラ検査などのより詳しい検査を行う必要があります。



慢性胃炎の治し方

ピロリ菌の治療方法のイメージ画像

慢性胃炎の治療では、まず「なぜ胃の粘膜に炎症が続いているのか」を確認します。
ピロリ菌感染が原因なのか、痛み止めなどの薬が関係しているのか、自己免疫性の胃炎なのか、生活習慣やストレスが症状を悪化させているのかなど、原因によって治療方針は変わります。

主な治療方法は、次の3つです。

  1. ピロリ菌の除菌
  2. 薬物療法
  3. 食生活・生活習慣の改善

特にピロリ菌感染による慢性胃炎では、除菌治療が重要です。
ただし、除菌に成功しても胃がんリスクが完全になくなるわけではありません。
特に萎縮性胃炎や腸上皮化生がある方では、除菌後も胃カメラで経過を確認することが大切です。


1:ピロリ菌の除菌

ピロリ菌の感染が確認された場合は、除菌治療を行います。
ピロリ菌は胃の粘膜に住みつく細菌で、長期間感染が続くと慢性的な炎症を起こし、萎縮性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんなどの発症リスクを高くすることが知られています。

一般的な除菌治療では、胃酸を抑える薬と2種類の抗菌薬を組み合わせ、7日間内服します。
治療で大切なのは、処方された薬を決められた日数きちんと飲み切ることです。
飲み忘れや自己判断での中止は、除菌失敗の原因になることがあります。

ピロリ菌除菌療法の流れ

ピロリ菌除菌の意義は、胃の症状を軽くすることだけではありません。
Cochraneのレビューでは、ピロリ菌除菌によって胃がん発生リスクが低下する可能性が示されており、将来的な胃がんの発生を防ぐ効果も期待できます。

ただし、除菌に成功しても「胃がんの心配が完全になくなる」という意味ではありません。
特に、すでに萎縮性胃炎が進んでいる方、腸上皮化生がある方、胃がんの家族歴がある方などは、除菌後も医師と相談しながら定期的な胃カメラ検査を受けることが大切です。

アクアメディカルクリニックでは、尿素呼気試験によるピロリ菌検査に対応しており、検査当日に結果説明を行い、必要に応じて除菌治療へ進める体制があります。
ピロリ菌検査については、以下のページもご覧ください。
ピロリ菌検査


2:薬物療法

慢性胃炎による胃痛、胸やけ、吐き気、胃もたれなどの症状がある場合は、症状に応じて薬物療法を行います。

よく使われる薬には、胃酸の分泌を抑える薬、胃粘膜を保護する薬、胃の動きを整える薬などがあります。
例えば胃酸が多い場合は、胃酸分泌抑制薬によって胃の刺激を減らし、粘膜が回復しやすい状態を作ります。
胃もたれや食後の苦しさが強い場合は、胃の運動機能を整える薬が検討されることもあります。

一方で、薬はあくまで症状や胃粘膜の負担を和らげるための治療です。
ピロリ菌に感染している場合は除菌治療が必要ですし、痛み止めやアスピリンなどが原因になっている場合は、原因薬の見直しが必要になることがあります。

特に注意したいのが、非ステロイド性抗炎症薬、いわゆるNSAIDsです。
腰痛、膝痛、頭痛などで市販の痛み止めを長く使っている方は、胃粘膜が傷つき、胃炎や胃潰瘍を起こしていることがあります。
ただし、心臓病や脳梗塞の予防などでアスピリンを服用している場合、自己判断で中止するのは危険です。
服用中の薬は必ず医師に伝え、必要に応じて胃薬の併用や薬の変更を相談しましょう。

また、市販薬で一時的に症状が軽くなっても、胃の状態が改善しているとは限りません。
症状が数週間以上続く、薬をやめるとすぐ再発する、黒い便や体重減少、貧血を伴う場合は、胃カメラ検査などで原因を確認することが大切です。


3:食生活・生活習慣の改善

慢性胃炎の治療では、食生活や生活習慣の見直しも大切です。

胃の調子が悪い時は、胃に負担をかけにくい食べ方を意識しましょう。
具体的には、食べすぎを避ける、早食いをしない、脂っこい料理や刺激の強い食べ物を控える、寝る直前の食事を避ける、といった工夫です。

例えば、夜遅くにラーメンや揚げ物を食べてすぐに寝る習慣がある方は、胃が休まりにくく、翌朝の胃もたれにつながることがあります。
お仕事が忙しい方でも、夕食を軽めにする、消化のよいものを選ぶ、食後すぐ横にならないなど、少しの調整で症状が変わることがあります。

アルコールや喫煙にも注意が必要です。
アルコールは胃粘膜を刺激し、胃痛やむかつきを悪化させることがあります。
喫煙は胃粘膜の血流や修復に悪影響を与えるだけでなく、胃がんリスクの面でも避けたい習慣です。

ストレスや睡眠不足も、胃の症状を悪化させる要因になります。
ストレスそのものがすべての慢性胃炎の直接的な原因になるわけではありませんが、胃の動きや知覚に影響し、胃もたれやみぞおちの不快感を強く感じやすくなることがあります。
睡眠時間を確保する、食事時間を整える、空腹時間を長くしすぎないなど、続けやすい対策から始めましょう。


慢性胃炎の治療は、除菌・薬・生活改善のどれか一つだけで完結するとは限りません。
胃カメラやピロリ菌検査で原因を確認し、その方の胃の状態に合わせて治療を組み合わせることが、再発予防や将来のリスク管理につながります。



慢性胃炎はどのくらいでよくなる?


改善までの期間は、原因によって異なります。
食べすぎや飲酒で症状が悪化している場合は、数日から1〜2週間ほど生活を整えることで軽くなることがあります。薬物療法を行う場合も、症状自体は比較的早く楽になることがあります。

ただし、胃の粘膜の状態が改善・回復するためには、数カ月~年単位の期間を要します。
「症状が落ち着いた=治った」という訳ではないため、注意が必要です。



原因別に見た改善までの目安

ピロリ菌除菌では、7日間の内服後、一定期間をあけて除菌判定を行います。
症状は早めに改善する方もいれば、除菌後もしばらく胃もたれが残る方もいます。

薬剤性胃炎では、原因薬の調整ができるかどうかで経過が変わります。

自己免疫性胃炎では、胃炎そのものを短期間で治すというより、貧血やビタミンB12不足、胃粘膜の変化を長期的に管理します。


慢性胃炎がなかなか治らない・繰り返すときに考えたいこと

胃薬を飲んでも改善しない、何度も再発する、食べる量が減って体重が落ちる、夜間に痛みで目が覚めるといった場合は、慢性胃炎以外の病気も考える必要があります。

また、胃カメラで大きな異常がないのに症状が続く場合は、機能性ディスペプシア、逆流性食道炎、胆石、膵臓の病気、便秘、精神的ストレスなどが関係していることもあります。
「慢性胃炎だから仕方ない」と我慢せず、症状の出方を医師に伝えましょう。



慢性胃炎のときの食事


慢性胃炎の食事で大切なのは、「胃の負担を減らしつつ、必要な栄養素を摂取すること」です。

症状が強い時は、温かく、やわらかく、脂肪が少ない食事を選ぶと胃への負担を抑えやすくなります。
おかゆ、うどん、白身魚、豆腐、卵、蒸し鶏、よく煮た野菜などは取り入れやすい食品です。

ただし、胃にやさしい食事を長く続けすぎると、たんぱく質や鉄、ビタミンなどが不足することがあります。
症状が落ち着いてきたら、魚、肉、卵、大豆製品、野菜を少しずつ戻していきましょう。


避けたい食べ物・飲み物

症状が強い時期は、揚げ物、脂身の多い肉、香辛料の強い料理、濃いコーヒー、アルコール、炭酸飲料、熱すぎる飲み物を控えめにしましょう。チョコレートや柑橘類、トマトなどで胸やけが出やすい方もいます。

大切なのは、食べ物を一律に「悪者」にしないことです。
同じ食品でも、少量なら平気な人、空腹時だけ症状が出る人、夜に食べると症状が悪化する人がいます。
食後の症状をメモして、自分の胃が苦手なパターンを見つけると調整しやすくなります。



慢性胃炎の治し方に関してよくある質問

Q&A

Q. 慢性胃炎は自然に治りますか?


A:一時的な胃の不調は生活改善で軽くなることがあります。
ただし、ピロリ菌への感染や萎縮性胃炎がある場合、自然に治るとは限りません。

Q. 慢性胃炎は自力で治せますか?


A:食事、飲酒、睡眠、喫煙を見直すことで症状が楽になることはあります。
ただし、ピロリ菌の除菌や胃カメラによる確認が必要なケースもあります。

Q. 慢性胃炎に効く食べ物はありますか?


A:特定の食品だけで慢性胃炎を治すことは難しいです。
症状がある時は、温かくやわらかい食事、脂肪が少ない食事を意識しましょう。

Q. 市販薬で様子を見てもよいですか?


A:軽い症状で短期間なら市販薬が選択肢になることもあります。
ただし、症状が続く、繰り返す、黒い便や体重減少がある場合は受診が必要です。

Q. 慢性胃炎は何科を受診すればよいですか?


A:消化器内科を受診しましょう。
胃カメラやピロリ菌検査に対応している医療機関だと、原因確認から治療まで進めやすくなります。



江東区・亀戸・押上周辺で慢性胃炎の相談ならアクアメディカルクリニックへ

アクアメディカルクリニックでは、慢性胃炎、胃もたれ、胃痛、胸やけ、ピロリ菌感染が気になる方の診療を行っています。


胃カメラ検査・ピロリ菌検査に対応

当院では、胃カメラ検査とピロリ菌検査の両方に対応しています。
ピロリ菌検査は精度の高い「尿素呼気試験」を採用しています。
検査当日に結果を説明し、必要であれば直ちに除菌治療を開始できます。

胃カメラ検査では、極細径スコープを使用し、鼻から挿入する「苦痛の少ない検査」を行っています。
また、挟帯域光観察(NBI=Narrow Band Imaging)システムを導入し、粘膜表面の微細な血管や構造を観察しやすい環境を整えています。

ピロリ菌検査
胃カメラ検査


WEB予約で相談しやすい体制

慢性胃炎は、症状が軽い時ほど受診を後回しにしがちです。
当院ではWEB予約を受け付けており、ご自身のタイミングでご予約をお取りいただけます。
健診で胃炎を指摘された方、胃の不調を繰り返す方、家族に胃がんの方がいる方は、一度胃の状態を確認しておくと安心です。


慢性胃炎の治し方は、胃薬を飲む、食事を控える、ストレスを減らすだけでは完結しません。
大切なのは、ピロリ菌感染、萎縮性胃炎、薬剤、自己免疫、機能性ディスペプシアなどを見極め、原因に合わせて治療を行うことです。

胃の不調が続く方、健診で慢性胃炎や萎縮性胃炎を指摘された方、過去にピロリ菌陽性と言われた方は、早めに消化器内科へ相談しましょう。
症状を楽にするだけではなく、将来の胃の健康を守るためにも、胃カメラ検査やピロリ菌検査を上手に活用することが大切です。