一般内科

暑い日が続くと、熱中症のニュースを目にする機会が増えます。
総務省消防庁の発表では、2026年7月20日から7月26日までの1週間だけで、全国の熱中症による救急搬送人員は18,591人でした。

熱中症は時に命に関わる重大な状態ですが、体内の水分が不足する「脱水症」にも注意が必要です。
脱水症が進行することで、熱中症のリスクを高めてしまうためです。

特に夏は「少し頭が痛い」「なんとなくだるい」「尿の色が濃い」「口が乾く」といった軽い不調の裏に、体の水分が不足している状態が隠れていることがあります。
これが一般に「隠れ(かくれ)脱水」と呼ばれる状態です。

今回は、「隠れ脱水」の症状チェック、対処法、内科を受診したほうがよいサインを解説します。

隠れ脱水とは

隠れ脱水とは、はっきりした脱水症状が出る前に、体に必要な水分や電解質が不足し始めている状態を指します。
脱水症の一歩手前の状態です。

私たちの体は、水分摂取量が不足すると血漿浸透圧が上がり、のどの渇きや尿の濃縮を起こします。
そのため、尿の色が濃い、尿の回数が少ないという変化は、比較的わかりやすい隠れ脱水のサインです。

一方で、のどの渇きは人によっては気付きづらいこともあります。
特に高齢者は口やのどの渇きを感じにくく、自分では気づかないうちに脱水が進むことがあります。

「隠れ脱水」という言葉が生まれた背景

「隠れ脱水」という言葉が広まった背景には、脱水症や熱中症を「症状が重くなってから気付く」のではなく、「一歩手前で気づいて予防する」必要性が大きく関係しています。

従来、脱水というと、強い口渇、ぐったりする、意識がぼんやりする、点滴が必要になる、といった状態を思い浮かべる方が多かったかもしれません。
しかし実際には、その前段階で、体内の水分バランスはすでに崩れ始めています。

つまり「隠れ脱水」は、病名というよりも、脱水症や熱中症に進む前の注意段階をわかりやすく伝えるための言葉です。
軽い不調の時点で気づければ、水分補給、休息、室温調整、必要時の受診につなげやすくなります。

隠れ脱水は夏の屋外だけではなく、室内や冬でも起こります

隠れ脱水は、真夏の屋外だけで起こるものではありません。

エアコンの効いた室内では汗をかいている自覚が少なく、水分補給が後回しになりがちです。
冬も、空気の乾燥、暖房、入浴、厚着による発汗、のどの渇きにくさが重なり、脱水が起こることがあります。

「暑い場所にいなかったから大丈夫」とは限りません。
室内で過ごしていても、頭痛、だるさ、尿の変化がある場合は、隠れ脱水の可能性があります。

隠れ脱水で出やすい症状

隠れ脱水の初期症状は、はっきりしないことがあります。
風邪、疲れ、寝不足、夏バテといった「軽い不調」と区別しにくいのが特徴です。

体の変化起こりやすい症状
脳・神経頭痛、めまい、集中力低下、ぼんやりする
消化器吐き気、食欲低下、胃の不快感
口・のど・皮膚口・のどの乾き、唇の乾燥、皮膚の乾燥
尿尿の色が濃い、排尿の回数が少ない
筋肉足がつる、こむら返り、体がだるい

頭痛や吐き気があると脳や胃腸の病気を心配される方もいますが、暑さ、発汗、下痢、食欲低下が重なっている場合は、脱水が関係していることもあります。

高齢者は症状が目立ちにくいことがあります

高齢者では、脱水があっても「のどが渇いた」と自覚しづらいことがあります。
2023年の系統的レビュー・メタ解析では、病院外で生活する65歳以上の高齢者の約24%に低摂取性脱水がみられると推定されています。

また、2026年に発表された入院高齢者を対象とした系統的レビュー・メタ解析では、入院時または入院直後の高齢者の23%、解釈としては4分の1から3分の1程度に低摂取性脱水がある可能性が示されています。

もちろん、これらは海外研究を含むデータであり、そのまま全員に当てはまるわけではありません。
ただ、「高齢者の脱水は珍しくない」という点は、家庭でも診療現場でも重要です。

自宅でできる隠れ脱水チェック

ここからは、自宅ですぐにできる簡単な隠れ脱水のチェック方法をご紹介します。

1:爪を押す

親指の爪を反対の指で軽く押し、白くなった爪の色がピンク色に戻るまでの時間を見ます。
3秒以上かかる場合は、脱水の可能性があります。

これは厚生労働省の熱中症ガイドでも紹介されているセルフチェックです。
ただし、冷え、血行不良、爪の状態などにも影響されるため、これだけで隠れ脱水だと断言はできません。

2:皮膚をつまむ

手の甲の皮膚を軽くつまみ、離したあとに戻るまでの時間を見ます。
2秒以上かかる場合は、脱水の疑いがあります。

ただし、高齢者では皮膚の弾力がもともと低下していることがあります。

3:尿の色と回数をチェックする

隠れ脱水で特に顕著な症状が尿の変化です。

薄い黄色で、普段通りの回数が出ていれば大きな心配は少ないですが、濃い黄色から茶色に近い色、半日近く尿が出ない、トイレの回数が明らかに少ない場合は注意が必要です。

「朝からほとんどトイレに行っていない」「尿の色がいつもより濃い」という場合は、水分不足のサインかもしれません。

これらのチェック方法は、隠れ脱水や脱水症を確定するものではありません。
あくまで「受診や水分補給を考えるきっかけ」として考えましょう。

隠れ脱水になりやすい人

隠れ脱水は誰にでも起こりますが、特に注意が必要な方がいます。

なりやすい人理由
高齢者体内水分量が少なく、のどの渇きを感じにくい
子ども・乳幼児体が小さく、気温や環境の影響を受けやすい
発熱・下痢・嘔吐がある人水分と電解質を失いやすい
屋外作業・スポーツをする人汗で水分と塩分を失いやすい
糖尿病・腎臓病・心臓病がある人水分調整に注意が必要
利尿薬・下剤を使用している人尿や便から水分を失いやすい

また、持病がある方は「水をたくさん飲めばよい」と単純に考えないことが大切です。
特に心臓や腎臓の病気の方では、水分や塩分の取り方に制限が必要な場合があります。

隠れ脱水かもと思ったときの対処法

「少し頭痛がする」「なんとなくだるい感じがする」「尿の色が濃い」「口が乾く」といった隠れ脱水の症状がある場合は、以下の2つの方法で対処できます。

1:涼しい場所で休む

隠れ脱水が疑われる場合は、まず涼しい場所で休みましょう。
屋外であれば日陰や冷房の効いた室内へ移動し、衣服をゆるめましょう。

それ以上体内の水分量を失わないためにも、涼しい場所で体を冷やしてください。

2:水分を「少しずつ、こまめに」摂取する

脱水症や熱中症予防の水分補給は、のどが渇いてからではなく、のどが渇く前に行うことが大切です。
環境省の啓発では、目安として1日あたり1.2Lの水分補給が示されています。

ただし、これはあくまで一般的な目安です。
発汗量、体格、食事量、運動量、病気の有無によって必要量は変わります。

また、大量に汗をかいたとき、下痢や嘔吐があるときは、水だけでなく塩分や電解質も失われます。
その場合は、経口補水液やスポーツドリンクが選択肢になります。
ただし、このような飲み物は糖分や塩分を含むため、糖尿病、高血圧、腎臓病、心不全などがある方は、自己判断で大量に飲まず、医師に相談してください。

内科を受診したほうがよい場合

軽い隠れ脱水であれば、水分補給と休息で改善することもあります。
しかし、次のような場合は内科の受診をおすすめします。

受診を考えるサイン考えられる背景
頭痛・だるさ・吐き気が続く脱水、熱中症、感染症など
発熱、下痢、嘔吐がある胃腸炎、感染症、脱水
尿が極端に少ない脱水、腎機能低下など
高齢者で元気がない、食事や水分が取れない脱水、感染症、薬の影響など
子どもがぐったりしている、泣いても涙が少ない脱水の進行
持病があり水分の摂取量に迷う心臓・腎臓・糖尿病などの管理が必要

脱水症は内科、小児科で相談できます。
脱水そのものだけでなく、発熱、胃腸炎、熱中症、薬の影響、生活習慣病なども併せて確認することが大切です。

救急相談を考えたほうがよい症状

次のような場合は、通常の外来受診を待たず、救急相談や119番も検討してください。

  • 意識がぼんやりしている
  • 呼びかけへの反応がおかしい
  • けいれんがある
  • 自力で水分を飲めない
  • 体が熱く、ぐったりしている
  • 立てない、歩けない
  • 強い嘔吐や下痢が続く

厚生労働省も、自力で水が飲めない、意識がない場合はすぐに救急車を呼ぶよう案内しています。

アクアメディカルクリニックで相談できること

アクアメディカルクリニックでは、発熱、頭痛、吐き気、下痢、だるさ、食欲不振、生活習慣病など、日常的な体調不良も幅広く診療しています。

隠れ脱水が疑われる場合でも、単に「水分不足」だけとは限りません。
背景に、胃腸炎、感染症、熱中症、糖尿病、腎機能の問題、服薬の影響などが隠れていることがあります。

特に高齢者や持病のある方では、点滴が必要かどうかだけでなく、水分や塩分の摂取量なども併せて確認することも大切です。

「少しだるいだけ」「頭痛だけ」「尿の色が濃いだけ」と思っていても、気になる症状が続く場合は、早めにご相談ください。

江東区・亀戸・押上周辺の隠れ脱水の相談はアクアメディカルクリニックへ

隠れ脱水は、脱水症や熱中症の一歩手前の状態です。
「のどが渇く」「頭痛がする」「体がだるい」「吐き気がある」「尿の色が濃い」「尿の回数が少ない」といった症状は、体の水分や電解質が不足しているサインかもしれません。

特に高齢者や子ども、発熱・下痢・嘔吐がある方、屋外作業や運動で汗を多くかいた方は、気づかないうちに脱水が進むことがあります。
また、エアコンの効いた室内や冬場でも水分不足は起こるため、「暑い場所にいなかったから大丈夫」とは限りません。

自宅では、爪の色が戻るまでの時間、皮膚をつまんだあとの戻り方、尿の色や回数を確認してみましょう。
併せて、食事や水分が普段通り取れているか、ふらつきや強いだるさがないかも大切な確認ポイントです。

ただし、セルフチェックだけで判断しすぎるのは危険です。
水分を取っても症状が改善しない、頭痛や吐き気が続く、発熱・下痢・嘔吐を伴う、高齢者や子どもの様子がいつもと違う場合は、早めに医療機関へご相談ください。

アクアメディカルクリニックでは、江東区・亀戸・押上周辺の一般内科として、脱水が疑われる症状だけでなく、発熱、胃腸炎、熱中症、生活習慣病、服薬の影響なども含めて診療しています。
「少し体調が悪いだけ」と思っていても、気になる症状が続く場合は、お気軽にご相談ください。