院長ブログ
2026年5月、福岡を中心にSNSで話題となっている「謎の風邪」。 コロナでもインフルでもない、しかし2〜3週間咳が止まらない。 当院にも同様の症状で来院される方が急増しています。

「とりあえず市販の咳止めを飲んでいる」 そんな方が非常に多い状況ですが、それだけでは根本解決になりません。 医師として、また分子栄養学の立場から、正しい対処法をお伝えします。

■「謎の風邪」とは何か
福岡県医師会は2026年5月20日の会見で、「ウイルスによる感染症の可能性が高い」との見解を示しました。原因病原体の特定は今夏頃の見通しです。
主な症状は以下の通りです。

1)強いのどの痛み・違和感から始まる
2)鼻水・痰のからむ咳が続く
3)発熱は微熱程度、または無熱
4)コロナ・インフル検査は陰性
5)大人では2〜3週間、長いと2か月近く長引く

有力候補として、ヒトメタニューモウイルス(hMPV)が挙げられています。春から初夏に流行しやすく、黄砂やPM2.5でダメージを受けたのど粘膜から感染するのが特徴です。

■なぜ今、これほど広がっているのか
専門家が指摘する要因は3つです。
1)急激な寒暖差による自律神経の乱れと免疫低下
2)黄砂・PM2.5によるのど粘膜のバリア破壊
3)パンデミック後の呼吸器ウイルスの季節性の乱れ

つまり、外的要因(ウイルス・環境)と内的要因(免疫力低下)が重なって発症しているということです。

■「咳止めだけ」では治らない理由
市販の咳止めは、咳という症状を一時的に抑えるだけで、ウイルスを排除する力にも、傷ついた粘膜の修復にも作用しません。 hMPVに特効薬は存在せず、対症療法と「自分の免疫で治す」のが基本となります。

ここで重要なのが、免疫の土台である「栄養状態」と「腸内環境」です。

■分子栄養学から見た回復のための5つのポイント
1)たんぱく質を体重1kgあたり1.2〜1.5g摂る 粘膜・免疫細胞・抗体すべての原料です。卵・魚・肉を毎食。
2)ビタミンDを意識する 気道粘膜の免疫に直結します。日光に当たる、青魚を摂る、必要に応じてサプリで補う。
3)亜鉛を切らさない ウイルス複製を抑え、粘膜修復に必須。牡蠣・赤身肉・かぼちゃの種など。
4)小麦製品(グルテン)・乳性製品(カゼイン)を一時的に控える 腸粘膜と気道粘膜は連動しています。腸の炎症を助長するグルテン、カゼインを控え炎症を鎮めると気道の回復も早まります。
5)睡眠を最優先する 免疫の回復は睡眠中に行われます。7時間以上、できれば22時前後に就寝。


■こんな時は必ず受診を
1)2週間以上咳が続く
2)息苦しさ・ゼーゼー音がある
3)高熱が続く、または症状が悪化していく
4)基礎疾患(喘息・糖尿病・心疾患)がある
5)高齢者・妊婦・小児
肺炎や気管支炎への進展リスクがあるため、自己判断で長引かせないことが大切です。

■当院でできること
アクアメディカルクリニックでは、通常の内科診療に加え、分子栄養学に基づいた血液検査・栄養指導により、「治りにくい体質」そのものへのアプローチが可能です。
「咳が長引いている」 「毎年この時期に体調を崩す」 「ウイルスに負けない体を作りたい」
そんな方は、症状が落ち着いてからでも構いませんので、一度ご相談ください。 今回の「謎の風邪」をきっかけに、ご自身の免疫の土台を見直す機会にしていただければと思います。


アクアメディカルクリニック 院長 寺田武史